ラッキーなことに、夕食17:30スタート組に入れてもらえた。
18:00 夕食後、念願の高天原温泉へ向う。
普通の登山の行程だと、こんな時間には行動しない人がほとんどだ。
むちゃくちゃやなぁ。しかし、明日はテント場まで戻らねばならない。
どうしても今日でなければならないのだった。
山小屋から、さらに1kmほど谷間へと山道を下る。
するとこの大きな石がゴロゴロする沢に出る。
沢の水量はそれほど多くないが、向こう岸の風呂に行くために、まず板切れの橋を渡って、この中州に降りる。
すだれで囲まれた女性用に入るためには、石垣のふもと奥行き1m程の水溜りを飛び石で渡り、子供の背丈程あるハシゴを4〜5段上がって、小屋の裏手に回る。
(オットは、右隣の風呂へ、草の土手を上がっていった)
入り口にはすだれが1枚かかっているだけで、扉はない。
のぞくと、目の前にたたみ1畳くらいの洗い場と、左手にこれまたたたみ2畳くらいの湯船がある。
脱衣所は、入り口入ってすぐの、50cm×1mほどの板切れだ。
お湯は、白濁色で、湯の花がたくさん漂っている。
疲れも汗も洗い流されていく。
あぁぁぁぁぁ〜、ええ湯ぢゃぁーーーーー。
10年近く前に発行されたガイドブックによると、沢のど真ん中に、岩で縁を囲っただけの露天風呂があると写真で紹介されていたが、探す気力なし。
ともかく、最初に目に入った風呂に飛びこんで、すだれで四角く囲まれた空を見上げてしばし呆ける。
かつて昭和の時代に鉱山ブームがあって、多くの人々がこんなところまで入りこんでいたと、山小屋の壁に貼ってあった新聞コピーで知った。
女性用の風呂は、当時鉱山関係者が使っていたものだという。
毎年、温泉の湧出場所が変わるとも書かれていた。
そういえば、ここまでくる途中、山道に「新湯」と書かれたまだ新しい道しるべもあったっけな。
周囲が薄暗くなるころ、小屋に戻る。
山小屋の夜は早い。
すでに、薄ぼんやりとランプが数個灯るだけ。
ほとんどの人が就寝体勢に入り、あちこちから寝息も聞こえていた。
静かにしずかに、山の夜がふけてゆく…
(この日は天候に助けられた。途中雨にでも降られようものなら、このペースは無理。雲ノ平で泊まるか、もし雲ノ平を出た後に雨にあっていたら、あの悪路でもっと苦戦したことだろう…。ちょっと無茶した計画だった。)
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