雲ノ平山荘から高天原山荘への約2時間の行程の中ほどは、北向きで木々に覆われた日当りの悪い斜面を下る。
しかも滑りやすい土。
当然道は荒れ、木の根はむき出しで、ハシゴが3ヶ所ほどかかっている。
疲労の度合いが加速する。
下り終わると、今度は直径20cmほどある石がゴロゴロする樹林帯の中を、小さなアップダウンを繰り返しながら、時にロープが手すり代わりの木橋で沢を渡り、高天原を目指す。
今日は、高天原山荘についたら終わりではないのだ。
宿泊手続きをしたら、その足でさらに1キロほど谷を下って、天然の温泉「高天原温泉」へ行かないと目的を果たしたとは言えない。
もう、疲れただのどうだの何も考えずに、ただひたすら歩く。
この秘境の地の温泉がどんなものだかぜひ入ってみたい、そんな思いだけでこんなにまで歩く自分が、我ながら「バカだなぁ」と笑えてもくる。
やっと、樹林帯を抜け出たら、目の前に高天原が広がった。
ここまできたら、山荘までもう少し。
温泉に行く予定がなかったなら、一旦小屋に荷物を置いて、またここまで引き返して、山陰に日が沈んでいくのをボーっと眺めるのもいいかもしれない。
17:00過ぎ、高天原山荘着。
|