--2005/11/30----------
◇「“心の器”の中身(6) 〜ストレス解消法と心の原風景〜」
「心が、体験やそれにまつわる気持ちを貯めていく器だとしたら…?
それぞれの人の“心の器”には、どんなものがどれくらい入っているのかな?」
時々そんなことを考えたりします。
今回は、「ストレス解消法と心の原風景」についてです。
ストレス解消には自分のFCが喜ぶことをするのが一つの方法ではないか、と
私は思っています。
そのFCつまり自分が幼い頃に、どのような環境に身を置き、何に興味を持っ
て「わくわく」したのかによって、ストレス解消法も違ってくるのかもしれ
ないということについて考えました。
きっかけは、仕事の先輩Nさんと、ストレス解消について語り合ったときに、
その方法の違いがとても興味深かったからです。
Nさんも交流分析を学んでいるので、自我状態をあらわす言葉などは通じま
す。
お互いに、「ストレス解消って、自分の心が喜ぶことをするのがいいんでしょ
うね。それってFCが安らいだりワクワクしたりすることでしょうね」
と意見が一致しました。
そして、いろいろと互いのストレス解消法を聴きながら、Nさんがふとつぶ
やいたのは「それにしても…。私のストレス解消法って、お金がかかること
ばかり…」というセリフでした。
それを聴いて、私は逆に、あまりお金がかからないことをうまくやっている
と思いました。
例えば、どんな違いがあるかというと、
・行きたい場所:
Nさん…リゾート地(ゴージャスな宿泊施設、洗練された街並み・店など)
キャンプは人生で一度もやったことがない
わたし…自然の豊かなところ、キャンプ、アウトドア、大好き
(宿泊は質素でよい、手付かずの自然など野趣に富んだ方がいい)
・お酒:
Nさん…高級ワインの栓を開けたときの部屋中に漂うあの香りがたまらな
い
わたし…美味しいと思えれば安くてもよい、お酒は楽しく酔えればそれで
よく、その時の「人」や「話」の質の方が重要かも
・「住環境」に求めることを聴くと、こんな風です:
Nさん…広々としていないと落ち着かない
ゴージャスな家具に囲まれていると心地よくうれしい
わたし…ごちゃごちゃと物にあふれていてもそんなに気にならない
家具などは質実剛健、機能をきちんと果たしていればいい
などです。
お互いに、「へぇ〜! そうなんだ!」とその違いに驚きながら、「なぜ、
そういうことを自分が求めるのか」という話にテーマは移っていきました。
そこでわかってきたのは、子ども時代にどういう環境に住んでいたか、どう
いうことが印象に残っているか、の違いとかなり一致するということでした。
Nさんは、当時都内でも一、二を争う中心地にて、商売をしている家系で生
まれ育ったのだそうです。
近くにあった祖父母の家はとても広々として、家具に凝っていたおじいさん
のいい趣味のものが置かれており、その家の雰囲気がお気に入りだったそう
です。
自宅の周辺も華やかな街。いつも洗練された物にあふれた風景。
自然は身の回りにはほとんどなかったそうです。
私はというと、自分の家は親の転勤で何ヶ所も移動したせいかあまり印象も
なく、むしろ、夏休みなどに訪れた両親の祖父母の田舎の家や風景が好きで、
それらが心和む場所でした。
田舎ですから、ハイカラなお店もなく、遊ぶのも既製品がないならその場に
あるいろいろなものを創意工夫することがあたりまえでした。
自然にあふれていました。そして、その自然に触れることが大好きでした。
Nさんも私も、自分がリラックスできたりワクワクしたりと心が喜ぶことと、
子どもの頃自分が身を置いていた環境とにかなり関連があるように思えまし
た。
これらは、ある意味「心の原風景」なのかもしれないと思いました。
その頃感じた安らぎ、喜び、ワクワク感などが、今の私を形作っている全て
ではありませんが、しかし、間違いなくその当時の環境に影響を受けている
と実感しました。
そしてまた、そこから得た価値観を今も持ち続けているということに気がつ
いたのです。
そんなことを二人であれこれ話しながら、互いが自分について気がついたこ
とは…
Nさん「私、何かこの頃疲れが取れなくて『休みたい』とばかり思ってた
けど、そういえば今年はハワイに行ってないわぁ…」
わたし「だから私は、あの何もない島、田舎を思い出させる島が好きなん
だ〜」
…やっぱり、それぞれ「その人らしい」ことでした(笑)
日頃、メンタルヘルス研修などで、「自分にあったストレス解消方法を」と
人には伝えてきましたが、「自分にあった」ということがどういうことなの
か、それを探れるヒントを得られました。
今年もあとわずか。
年末年始はお休みの方も多いでしょう。
年末年始がお仕事の方は、いつが冬休みなのでしょうね?
いずれにせよ、休暇中は、ぜひぜひ、「ご自分の心が喜ぶこと」をしてあげ
てくださいね。
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