--2005/04/25----------
◇「ほめ上手・ほめられ上手」
僭越ながら私は時々、コミュニケーションや人間関係のワークショップなどを
行っています。その時に受講生の方々を見ていると、よく、「ほめ上手・ほめ
られ上手になると、もっと人間関係がスムーズになるかもしれないのに」と思
うことがあります。
最近もそんなことを思う機会がありました。
今回はそのうちの「ほめ上手」について、考えていることを述べてみようと思
います。
たまに出会う、「うまくいっていない人間関係を何とかしたいと思っているけ
れど、そのためには相手が変わるべきだ」という価値観の人。
こういうタイプの方は、「自分から・自分だけ変わるのは、しゃくにさわる。
悔しい。」と思っていらっしゃることが多いようです。
交流分析の「過去と他人は変えられない」という言葉は、その人の心にはなか
なか届きません。
それでも、「その関係を何とかしたい。このままではよくない。」という思い
もあってか、コミュニケーション・スキルの説明を熱心に聴いて、ロールプレ
イにも真剣に取り組まれます。
その苦手な相手を想定して・・・。
その様子を見ながら、時々私は思うのです。
相手のことを『not OK』としてみている、相手との関係を『最悪(に近
いレベル)』と捉えている、そんなままでよりよい関係にしようという
かかわりの練習をして、どれくらい改善されるのだろうか?
「よりよい関係」というよりも「自分に都合のいい関係」を目指しては
いないか?
もしかしたら、スキルの練習以前の問題かもしれない。
相手にひとかけらでもいいから「長所」「良いところ」を見つけられた
方が、関係は改善に向かうのではないだろうか?
・・・と。
嫌いな相手、苦手な相手の中に、長所や良いところを見つけられたら、相手
に対する自分の見方が変わります。
「あの人にもいいところもあるんだ」と見方が変われば、少し相手への感情
も変わり、それに伴って関わり方や言動も変わるのではないか?その結果、
関係も変わっていくことがあるかもしれない・・・。
そんな風に思うのです。
こういう嫌いな相手との普段のコミュニケーションでは、私達はおうおうに
して、相手が嫌なことをやったりこちらに向けてきた時のみに反応しがちで
す。
つまり、相手の嫌なところや嫌な対応に対してマイナスのストロークを与え
るとことの多いかかわりということは、「私はあなたのマイナスの部分にし
か関心を持っていない」と伝えているのと同じではないでしょうか?
それよりもむしろ、その相手が、たまには「うれしいかかわり(こちらが100%
理想とするレベルに達していなくても)」をしてくれたときに、「ありがと
う」「今みたいな言い方だと、うれしいです」とそれを喜んだり、「そうい
う感じ、いいですね」とプラス面に対してフィードバックをしてはいかがで
しょう?
私達は一般的に、自分に好意を持っていいところを見てくれる人を好みます。
ちまたのさまざまなスキルも、マインド(ハート)がなければ上っ面なテク
ニックで終わってしまうような気がします。
嫌いな人・苦手な人に対して、「ほめる」ことが難しいとしたら、せめて、
やるべきことをやってくれた時には当たり前と思わず感謝を示す、冷静にプ
ラス面のフィードバックをする、挨拶だけはかかさないなどで、こちらはこ
れ以上悪い関係にするつもりがないことを伝えてみてはいかがでしょうか?
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