--2004/08/15----------
◇健康創成論とディスカウント
今回のご案内したセミナーのタイトルに「健康創成論」というものがありまし
たが、私は初めて目にする言葉でした。
読者の皆さま方の中には、もうすでにご存知の方もいらっしゃるのかもしれま
せんが、今回のコラムでは好奇心で調べたことを少しご紹介したいと思います。
「健康創成論(サルートジェネシス)」は、日本語では「健康生成論」とも訳
されていて、ユダヤ系アメリカ人の健康社会学者アーロン・アントノフスキー
氏が提唱した考え方なのだそうです。
「健康をどう創っていくかという基本的な概念」で、それと対極にあるの言葉
を「病因論(パソジェネシス、“疾病生成論”ともいう)=なぜ病気になった
のかを追求する考え方」です。
アントノフスキー氏の本「健康の謎を解く」を訳した東京大学大学院健康社会
学助教授 山崎喜比古氏によると、アントノフスキー氏はユダヤ人強制収用所
の生き残りの人たちのその後の健康状態を研究した際に、苛酷なストレッサー
にさらされながらも、なおも健康を保持している人たちがいるということに驚
き、その人たちに共通する要因や条件を「健康要因 (salutery factor)」と
名づけたことが、健康生成(創成)論を発展させていく発端となったそうです。
その健康要因の最も中核に、「SOC(sense of coherence:健康保持能力)」
と呼ばれるものがあり、それをもとに健康生成モデルができ上がっているとの
こと。
SOCは山崎氏によって「首尾一貫感覚」と訳されており、それは「把握可能
感」と、「処理可能感」、「有意味感」の3要素から成り、経験を通して後天
的に獲得していくもののようです。(SOCについては、メンタルヘルスの書
籍などでも紹介されつつありますね。)
「把握可能感」
自分の直面する出来事は、全て予測と説明が可能であるという確信
「処理可能感」
困難などに遭遇しても、それを乗り越えていくための有効な資源は得られ
るという確信
「有意味感」
起こった出来事などに対して、それに挑戦していく・関わっていくに値す
る意味があるというとらえ方
ここまで調べてみて、「ああ、これは、TAでいうディスカントとも関連があ
るなぁ」と思えてきました。
SOCが弱い(低い?)人は、ディスカウントをしていると言うことができる
のではないでしょうか?
ディスカウントについて「健康創成論」的な視点を持つとすれば、「ディスカ
ウントをしない人になるには、成育の過程でどんな経験をしてきたらよいのか?」
ということに着目するということなのかもしれませんね。
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